行動の四角形

行動の四角形とは、トマス・ゴードンThomas Gordon Ph.D.(シカゴ大学、同大学院博士課程修了。臨床心理学博士)によってつくられた相手の行動を受容できるか否かを整理する窓枠です。

四角形は縦に3つの領域に分かれていて上から、①私にとって問題なし領域、②相手も私も問題なし領域、③私にとって問題あり領域となります。

これは誰かが決めるのではなく、自分が主体的に相手の行動をこの四角形の中にあてはめていってよいとあります。

①の私は問題を持たないが、相手が問題を持っているかもしれない領域。

相手が問題を持っていることを「サインを出す」といいます。

例えば相手が「お金がないの」といった場合は、相手が問題を持っている領域にはいります。

それを聞いた場合、私が何とかしなければという思考に陥りがちですが、ここで相手の問題を自分が所有しないことが重要だとゴードンは述べています。

相手の問題を私たちが解決してしまうと、相手を無能とみなし、かつさらに相手のすべき、問題を解決する機会を奪ってしまいます。

相手の問題は相手が解決すべきものであり、私ができることは相手の成長、問題解決能力を信じ、相手の話を能動的に聞くことです。

問題を解決しようとする相手に、本当にそれがサインなのか確認をとり、サインであれば相手の気持ちを中心に話をフィードバックしていくのが良いようです。

②の相手も自分も問題なし領域は「子供のテストがとてもよかった」などです。

③の私にとって問題あり領域は、さらに自分にとって相手の行動がⅰ影響がある場合とⅱない場合に分かれます。

ⅰ影響がある場合、例えば「あなたがそこに物を置いておくとぶつかってしまって痛いんだ」と伝えます。

そうすると相手が行動を変えてくれる場合は多いようです。

しかしⅱの影響がない場合や影響があいまいな場合は価値観の対立である場合が多く、あまりそのことを相手に伝えても効果がない場合も多いとあります。

例えば「あなたがそんな言葉遣いをするとお母さんは恥ずかしい」などです。

周りの人から母親が白い目で見られる可能性がある、というあいまいな影響しか感じられないと本人は行動を変容させないことが多いようです。

私の家でも勉強しない小学校3年生の息子と無理やり勉強させる妻とのバトルが日々繰り返されています。

勉強を自らするかしないは息子の課題ですが、妻にとっては勉強しない息子の将来がとても不安なので、自分の課題であると強烈に思うあまり、やや強引に息子に勉強させるため、しかりつけるわけです。

この関係は、以前お話しました母子一体感そのものなのですが、一歩引いた離別感の親子関係がとても大切な関係といえます。

つまり息子に勉強しやすい場の提供と、あなたが勉強しないと私が心配なのといったIメッセージで対応するとなおいいでしょう。