独自の矯正
原田ハマ著書による リーチ先生 を購読中です。バーナードリーチは、英国人でありながら、日本の陶芸文化に多大な影響を与えた人物として知られています。
道具として日常的に使われているものを、芸術作品にまで昇華したリーチの情熱が伝わってくるそんな書につい引き込まれてしまいます。
私が、日常矯正治療のなかで使用している取外し式の装置は、スライデックスといいます。これを開発した人物は、SH療法の代表である星岡先生です。見た目は単純な構造ですが、その開発には、バーナードリーチ以上に情熱を掲げた経緯があります。
思考錯誤を繰り返しながら、今の完成形に到達したことを本人からお聞きしています。ワイヤー矯正は、西洋人が開発したものでよく知られていますが、このスライデックスについてはほとんど知られていないのが現状です。
従来の矯正は、抜歯したスペースを利用してワイヤーで歯を移動させますが、スライデックスは抜歯せずに歯の土台そのものを広げていくので、根本的に違う治療法です。一旦装置を口に入れた瞬間から、徐々に歯の土台が広がっていき、歯列を正常な位置に進めていくのです。
バーナードリーチは、外国人でありながら日本の陶芸文化を独自に昇華させました。星岡先生は、日本人でありながら諸外国の矯正治療を勉強し、SH療法という取外し式の矯正を開発しました。
2人に共通するところは、異文化に学び、それを独自に進化させていったところにあります。時代は違えども、従来のものをオリジナルとして発展できる人に私は、魅力を感じ得ずにはいられません。